第1部 環境問題の動向

第1章 国際社会及び国の動向

 国際社会では,先進国における社会経済活動の拡大・高度化や,開発途上国における人口の増加等により,地球温暖化,オゾン層の破壊など,地球規模の空間的広がりと将来世代にもわたる時間的広がりを持ったいわゆる地球環境問題が顕在化してきています。

 このような環境問題の重要性に対する認識の高まりを踏まえ,平成4年6月ブラジルのリオデジャネイロで環境と開発に関する国連会議(地球サミット)が開催され,「持続可能な開発」を目指した「環境と開発に関するリオ宣言」,「アジェンダ21」等が採択されました。

 また,平成9年12月には,気候変動枠組条約第3回締約国会議が京都市で開催され,二酸化炭素などの温室効果ガスの削減目標等を定めた議定書が採択されました。

  このような国際的動向に対応して,国においては,平成10年6月に,民生部門,産業部門,運輸部門等での二酸化炭素削減・抑制目標の設定と実現に向けたエネルギー需給対策やライフスタイルの見直し等を内容とした「地球温暖化対策推進大綱」を策定するとともに,平成10年10月には「地球温暖化対策の推進に関する法律」を公布,平成11年4月施行され,地方公共団体の事務事業における温室効果ガスの排出削減を目的とした実行計画の策定が義務づけられました。

 また,一般廃棄物の減量とその再生資源としての適切な利用を図るため,平成7年6月に「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進に関する法律」(容器包装リサイクル法) が制定されました。

 さらに廃棄物の適正な処理を確保するため,平成9年6月に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が改正され,廃棄物の減量化・リサイクルの推進,廃棄物処理施設の設置手続きの明確化,最終処分場の適正な維持管理の確保,不法投棄に対する罰則の強化等が図られました。
 これに関連して政省令が改正され,最終処分場の構造基準や産業廃棄物の処理基準等についても充実・強化が図られました。

 一方近年,内分泌攪乱化学物質による環境汚染が,世代を越えた深刻な影響をもたらす恐れがあるとして,環境上の重要課題となっており,環境庁では平成9年3月に「外因性内分泌攪乱化学物質問題に関する研究班」を設置し,今後重点的に進めるべき調査研究課題などの検討を行い,同年7月中間報告書をまとめました。

 平成10年5月には,それを踏まえて現時点での内分泌攪乱化学物質問題についての基本的な考え方,今後進めて行くべき具体的な対応方針等を「環境ホルモン戦略計画 SPEED '98」として公表し,実態把握やメカニズムの解明などの取り組みを進めています。

 さらに,ダイオキシン類についても,平成9年2月に排出抑制基準が定められ,平成10年度にはダイオキシン類に係る総合対策として,総合的な調査を実施するとともに,平成11年度も引き続き,各種対策を実施しています。また,平成12年1月には,ダイオキシン類対策特別措置法が施行され廃棄物焼却炉等の発生源対策を進めています。

 平成7年10月には「生物多様性国家戦略」を制定し,生物資源の持続可能な利用,自然に配慮した開発など,多様性の確保に向けた我が国の基本的な方向を示しました。

 平成9年6月に「環境影響評価法」が制定され,早期段階での住民参加や対象事業規模の拡大など制度の充実が図られ,平成11年6月全面施行されました。

 近年企業においても新たな動きが見られるようになりました。
 社会の構成員としての責任や環境問題をビジネスチャンスと捉える認識の変化などにより,ISO14001(環境管理システム)の認証取得についての積極的な取組や,電気自動車など低公害車の実用化など様々な分野で,環境問題に着目した新たな事業活動の展開などの動きが活発化しています。

第2章 本県の動向

 このような国等の動きの中,本県においてはこれまで「公害防止条例」や「自然環境保全条例」等の条例や規則,さらには,鹿児島湾ブルー計画等の環境管理計画に基づく総合的な環境保全施策のほか,共生と循環型社会の再生という新たな地域づくりを目指す屋久島環境文化村構想を策定し,環境保全施策を推進してきています。

 本県は,南北600qにも及ぶ広大な県土に,緑豊かな森林や美しい海岸線,多様な野生生物など美しく豊かな自然に恵まれています。

 しかしながら,近年,生活排水等による水質汚濁や農畜産業等における水質汚濁・悪臭,廃棄物の増大や適正処理の問題などの身近な環境問題が顕在化してきているとともに,地球温暖化やオゾン層の破壊などの地球規模の環境問題に対して,地域レベルでの一層の取組が求められています。

 このため,平成11年3月,本県の環境の保全及び形成についての基本理念や,県,市町村,事業者及び県民の責務や環境保全施策の基本方針等を定めた「鹿児島県環境基本条例」を制定し,この条例に基づいた「鹿児島県環境基本計画」に掲げる各般の施策を推進してきており,その主たるものは次のとおりです。

 地球温暖化を中心とする地球環境問題への対策としては,平成11年3月に県民や事業者,行政が自主的かつ積極的に,そして地域として取り組むための行動メニューを提案する「鹿児島県地球環境保全行動計画」を策定するとともに,同年6月に「第1回鹿児島かんきょうフェア」を鹿児島市で開催するなど,同計画の普及・啓発に努めています。

 なお,県自らが率先して環境保全に取り組むため,「県庁環境保全率先実行計画」を平成10年12月策定し,11年1月から実施しています。

 廃棄物の処理対策については,産業廃棄物の減量化・リサイクルを推進するため,平成11年3月,平成15年度を目標年度とする新たな「鹿児島県産業廃棄物処理計画」を策定したほか,ごみの減量化・再資源化を促進するため,容器包装類の分別収集計画の策定を市町村に指導するとともに,ごみなどの一般廃棄物の適正処理を推進するため,平成11年3月「ごみ処理広域化計画」を策定しました。

 また,公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場の整備については,これまでの適地調査を踏まえ,具体的な候補地の選定に向けて作業を進めています。

 自然環境の保全については,構成要素の一つである野生生物,特に絶滅の恐れのある希少な野生生物の保護が重要であるが,その保護対策検討の資料を得るために,平成11年度から4カ年計画で「希少野生生物調査事業」を実施し,県内の希少な野生生物の生息状況を把握のうえ,県版レッドデータブックを作成することとしています。

 また我が国初の自然遺産登録地である屋久島と鹿児島市において,アジア太平洋地域を中心とした世界自然遺産を有する国内外の自治体などが参加する世界自然遺産会議を平成12年5月に開催するための諸準備を進めています。

 鹿児島湾ブルー計画については,計画の中間年度にあたる平成11年度に前期の成果等を評価し,後期の施策へ反映させるために中間評価を行うこととしています。

 環境影響評価については,現在の鹿児島県境影響評価要綱が閣議要綱を基本としていることから,新たな考え方に基づく環境影響評価法の施行を踏まえた県の環境影響評価条例の平成11年度中の制定に向けて作業を進めています。

 なお,近年,内分泌攪乱化学物質など有害化学物質による環境汚染や生物への影響が大きな問題となってきており,県としても情報の収集に努めるとともに,国や関係機関等の動向を踏まえて,適切な対応を図ることとしています。

 

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