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2 水・土壌関係の保全

3 鹿児島湾ブルー計画の推進

 公共用水域とりわけ閉鎖性水域の水質保全を図るため,法令に基づく諸対策はもとより,法令が適用されない小規模の汚濁発生源や生活排水等を含めた総合的な対策を講ずるための水質環境管理計画を策定し,その推進に努めて います。
 鹿児島湾については,平成7年3月に策定した「第3期鹿児島湾ブルー計画」に基づき,関係機関と連携して各種環境保全対策を進めています。

(1) 趣旨

 第3期計画は,これまで推進してきた第1期計画,第2期計画を発展的に継承するものであり,国の環境基本計画で示された「循環」,「共生」,「参加」型社会の構築により,環境への負荷の少ない経済社会を目指すという長期的な目標をも念頭において,「美しい錦江湾を明日の世代へ」を基本理念に掲げ,湾域の自然的・社会的特性に配慮した適正な環境利用が図られ,鹿児島湾の水質が将来にわたって良好に保たれるよう,「水質保全目標」と「水辺環境の保全管理目標」を設定しました。 特に,この計画では,これまでのCODとりんの水質保全目標に加え,富栄養化未然防止の観点から,新たに窒素についても水質保全目標を定めるとともに,きめ細かな環境保全対策を講じて,湾の水質環境管理をさらに推進しようとするものです。

(2) 性格
[1] この計画は,鹿児島湾の水質汚濁の未然防止を中心とした良好な水質環境の保全及びそれと一体となった水辺環境の保全管理など,総合的かつ長期的な展望に立った湾域の環境保全の基本となる計画です。
[2] この計画は,将来にわたって確保される鹿児島湾の環境保全目標を定め,それを維持達成するための総合的な方策を示したものであり,各種の環境利用行為を適切に誘導するためのガイドラインです。

(3) 対象地域
 鹿児島湾域の集水域内にある5市19町とし,計画を円滑に進めるために自然的・社会的条件を考慮して対象地域を6ゾーンに区分します。

(4) 計画の期間平成7年度から平成16年度までとします。

(5) 環境保全目標
 鹿児島湾の水質の保全及びそれと一体となった水辺環境の良好な保全管理を図ることを目標とし,次のとおりとします。

ア 水質保全目標
 この計画の水質目標は,水質汚濁に係る環境基準を目標としますが,特に水質汚濁の代表的な指標であるCOD並びに富栄養化(※)に密接な関わりがある窒素及びりんについて次のとおり目標を定めます。

項目 目標水質
COD

窒素

りん

2 mg/L

0.3 mg/L

0.03 mg/L

※閉鎖的な水域など停滞しやすい水域に,窒素やりんなどの栄養物が流入してプランクトンなどが増える現象をいい,これが進行すると,水質の悪化や悪臭,水産資源や利水への悪影響を引き起こします。 また,赤潮発生の要因とされています。

イ 水辺環境の保全管理目標
 海水浴,潮干狩り,いそ遊びなど県民に親しまれている利用性の高い海岸や水質浄化機能の高い海浜などが,良好な状況で保全管理されていることを目標とします。

(6) 負荷総量と汚濁負荷量の削減

ア 負荷総量水質の目標を維持達成するために,海域への流入が許容される人為的な汚濁物質の量を「負荷総量」として,CODについてゾーンごとに定めています。
 なお,CODの負荷総量は,各種の環境保全対策を進めるうえで一応の目安となるものであり,海況等の変動要因に配慮し,安全を考え低いレベルに厳しく設定しています。

イ 汚濁負荷量の削減

 CODについてはおおむね水質保全目標を維持していますが,負荷総量をこえているゾーンについては,さらに環境保全対策を推進して汚濁負荷量の削減に努めます。

表1-55 OCDの流入汚濁負荷量の削減量

     りんについては湾央部では水質保全目標を維持しているものの,湾奥部では目標をわずかに越えて推移しています。
   りんの場合は,海域における挙動が複雑で負荷総量の設定が技術的に困難であることから,水質保全目標を越えた濃度
      (超過分)に見合う汚濁負荷の削減量を求めることとします。

表1-56 りんの流入汚濁負荷量の削減量

       窒素については,現状水質が水質保全目標を達成していますが,富栄養化の未然防止の観点から,今後とも汚濁負荷量
         の増加を抑制するよう努めます。

 (7) 排出汚濁負荷量の推移
     湾域において,排出される汚濁物質の量を,生活系,事業場系,畜産系,農林系に区分して,これまでの推移及び平成15年度
    の状況を予測しました。

  ア COD
      CODの排出汚濁負荷量は,昭和50年度から漸増傾向でしたが,平成4年度においては,32.0トン/日と減少に転じています。
       昭和50年度からの漸増の要因は,水産系がほぼ倍増しており,このことが大きな要因となっています。
       また,平成4年度に減少に転じた理由としては,湾域における下水道整備が進み,生活系が大幅に減少していることや,水産
       養殖における餌料改善等による汚濁負荷の削減等が進んだ結果,水産系がかなり減少していることが大きな要因です。
    将来(平成15年度)は,下水道や合併処理浄化槽等の整備が促進されることにより,生活系の汚濁負荷量がさらに減少する
      ものと見込まれ,全体の汚濁負荷量は31.3トン/日になるものと推計されます。

図1-16  CODの排出汚濁負荷量の推移

図1-17  CODの発生源別,ゾーン別排出汚濁負荷量の割合

イ 窒素
      窒素の排出汚濁負荷量は,漸増傾向にあります。
      また,将来(平成15年度)においても増加することが推測され,中でも生活系の伸び率が1.5倍と高くなっています。
   生活系は,今後,下水道などの整備が進展するので減少すると考えられますが,窒素については汚濁負荷の削減が
   技術的に難しいこと等から増加傾向になると考えられます。
      平成4年度の発生源別の割合は,水産系が40%と最も高く,次いで生活系,農林系となっています。
          また,ゾーン別ではIIIIVVゾーンで全体の約80%を占めています。

図1-18 窒素の排出汚濁負荷量の推移

図1-19 窒素の発生源別,ゾーン別排出汚濁負荷量の割合

 ウ りん
      りんの排出汚濁負荷量は,昭和50年代後半,無りん洗剤の普及により生活系の汚濁負荷量が大幅に減少したこと
   から全体的に減少傾向にありましたが,昭和59年度以降,増加に転じています。 この増加傾向の要因を考察すると,
   昭和59年度から平成4年度にかけて水産系が1.6倍に,また畜産系が1.4倍になっており,このことが大きな要因となっ
      ています。
       りんの場合も,窒素と同様に汚濁負荷の削減が技術的に難しく,将来(平成15年度)においても増加することが推測
   され,全体の汚濁負荷量は3,725kg/日になるものと推測されます。
      平成4年度の発生源別の割合は,水産系が48%と最も高く,次いで畜産系,生活系となっており,また,ゾーン別では
   IIIIVVゾーンで全体の75%を占めています。

図1-20 りんの排出汚濁負荷量の推移

図1-21 りんの発生源別,ゾーン別排出汚濁負荷量の割合

 (8) 環境保全対策
     鹿児島湾の水質保全目標を維持達成し,それと一体となった水辺環境の良好な保全管理を図るため,県,関係市町及び
    住民などがそれぞれの役割分担のもとに,自主的かつ積極的に環境保全対策に取り組む必要があります。
     このため,環境保全に配慮した土地・水面利用対策や工場・事業場,農林畜産業,水産養殖業,一般家庭などの汚濁発生
    源対策を総合的かつ効果的に推進するとともに,水辺環境の良好な保全管理に努めます。

  ア 環境利用対策
   ○適正な土地・水面利用
     鹿児島湾の長期的展望にたった総合的,計画的な土地利用を図ります。
   ○環境影響評価等の推進
     環境保全の面から各種の開発行為が適正に行われるように努めます。

  イ 汚濁発生源対策
   ○工場・事業場排水対策
     監視調査や行政指導の徹底,及び指導指針に基づく排水処理等の指導に努めます。
   ○生活排水対策
     生活排水処理施設の整備や啓発活動などを効果的に推進します。
   ○農畜産業対策
         農地への施肥などが適正に行われるよう指導を行います。 また,家畜ふん尿については,堆肥化し農地へ肥料として
            還元することを基本とするなど,きめ細かな指導の徹底に努めるとともに,ふん尿処理施設等の整備促進に努めます。
   ○水産養殖業対策
     餌料及び給餌方法等の改善により,汚濁負荷の軽減を図ります。

  ウ 水辺環境の保全管理
   ○海水浴場,潮干狩り,いそ遊びなど,県民に親しまれている砂浜や磯辺等自然海岸や半自然海岸については,できる
         だけ現状の維持に努め,やむを得ず改変する際は,自然に配慮した最小限の改変に留めるよう努めます。
     なお、 海水浴場の水質調査については,海水浴シーズン前,シーズン中に実施し,快適な状況で県民が海水浴等に利
         用できるように努めます。

  エ 環境保全活動の促進
   ○生活排水対策の重要性について,住民一人ひとりが十分認識し,各家庭において実践活動を展開していく必要があります。
   ○ごみ・空き缶等投げ捨ての防止
   ○釣り人等のマナー向上
   ○海岸清掃の実施
   ○川や海に親しむ運動

 (9) 計画の推進
     第3期計画を効果的に推進するためには,県や市町などの行政機関をはじめ,事業者や住民等がこの計画の趣旨を理解し,
    一体的に取り組むことが重要です。 そのためには,推進体制を整備し,円滑な運営を行うとともに,事業者及び住民等に対す
    る意識啓発など積極的に取り組むこととします。 また,定期的に水質環境や社会環境を把握するなど計画推進の進行管理を
    行います。
     平成9年度は,下水道整備をはじめ,生活排水,農畜産,魚類養殖等に係る水質保全対策の推進に向けて,地域水質環境
    管理計画推進本部のもとで,庁内関係各課が取り組みました。
     また,パンフレット等による広報,洋上環境教室等の環境学習会の開催,街頭キャンペーンの実施等により水質保全に対す
    る意識の啓発を行ったほか,小学生を対象に図画募集を行った結果,応募作品も多く,地域住民の関心の高いことがうかが
    えました。

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