第4節 騒音・振動,悪臭等の防止
1 騒音の現状と対策
(1) 現状
[1] 騒音に係る環境基準
騒音に係る環境基準(表1−60)は,環境基本法第16条の規定に基づき,騒音に係る環境上の条件について,生活環境を保全し,人の健康の保護に資する上で,維持されることが望ましい基準として定められており,各種騒音防止対策の目標となるものです。
表1−60
騒音に係る環境基準(平成10年9月30日環境庁告示第64号)
(1) 道路に面する地域以外の地域(一般地域)
騒音に係る望ましい生活環境の保全を図るため,この「騒音に係る環境基準」の類型指定を行っており,指定地域は,表1−61のとおりです。
表1−61 騒音に係る環境基準の類型指定地域の状況(平成11年3月31日現在)
平成10年度の環境基準の達成状況は,図1−17のとおりです。
環境基準監視測定は,8市1町が89地点において調査を行っています。
道路に面する地域以外の地域においては,4時間帯のすべてで達成されている測定地点は,全測定地点の55.9%,4時間帯のいずれかで達成されていない地点は,41.2%,4時間帯のすべてで達成されていない地点は,2.9%です。
また,道路に面する地域においては,4時間帯のすべてで達成されている測定地点は,全地点の43.6%,4時間帯のいずれかで達成されていない地点は,38.2%,4時間帯のすべてで達成されていない地点は,18.2%です。
図1−17 騒音に係る環境基準の達成状況(平成10年度)道路に面する地域以外の地域(一般地域)
図1−17 〃 〃 道路に面する地域
航空機騒音については,騒音対策の目標となる「航空機騒音に係る環境基準」が定められており,昭和58年に鹿児島空港周辺について環境基準の類型指定を行いました。
その後,同空港周辺の土地利用に変化があったため,平成元年3月29日で類型指定の見直しを行い,類型指定区域を拡大しました。
また,鹿屋飛行場周辺についても,昭和60年に類型指定を行いました。
航空機騒音に係る環境基準及び指定地域は,表1−62,表1−63のとおりです。
平成10年度に実施した鹿児島空港及び鹿屋飛行場周辺の航空機騒音の測定結果は,表1−64,表1−65の
とおりで,鹿屋飛行場の一地点で環境基準を超過しています。
[2] 騒音に係る苦情の状況
騒音は,各種公害の中でも,日常生活に密着した問題であり,発生源も多種多様であることから,苦情も多岐にわたっています。
苦情件数の推移は,図1-18のとおりです。 平成10年度の苦情件数は90件で,前年度に比べ減少しています。
発生源別では,工場・事業場,建設作業等によるものが増えています。
また,近年,いわゆる近隣騒音(深夜営業等,拡声機,家庭生活をあわせたもの)に係る苦情の割合が多く,9年度は騒音苦情全体の33.3%(90件)を占めています。
市町村別の苦情件数は,市部で全体の88.9%(80件)を占め,特に鹿児島市は人口の集中度,住居の密集度を反映して,全体の48.9%(44件)を占めています。
図1-18 騒音の発生源別苦情件数の推移(平成10年度騒音規制法施行状況調査)
[3] 道路交通騒音要請限度の超過状況
騒音規制法の指定地域内における道路交通騒音が,要請限度(資料編5−(6))を超えていることにより,周辺の生活環境が著しく損なわれると認められる時は,市町村長は,公安委員会に対し,交通規制等の措置を要請することができます。
平成10年度に,市町村が行った道路交通騒音の監視測定の結果は,図1−19のとおりです。
測定地点58地点のうち,3地点においていずれかの時間帯で要請限度を超過しています。
(2) 対策
騒音対策については,騒音規制法や県公害防止条例に基づく規制基準の遵守,指導を行い,関係機関や市町村と密接な連携を図り,各種対策を総合的に推進していくことが必要です。
[1] 騒音規制法による規制
騒音規制法では,騒音を防止することにより,生活環境を保全すべき地域を知事が指定し,指定地域内にある工場・事業場における事業活動や建設作業に伴って発生する騒音を規制するとともに,道路交通騒音対策の要請等ができることとされており,昭和58年度までに県内全市町村について地域の指定を行っています。なお,この規制及び要請等は,指定地域を有する市町村長の事務となっていることから,県では,市町村担当職員の研修を計画的に行っています。
(ア) 工場・事業場騒音
工場・事業場からの騒音苦情は,横ばい傾向にあるものの,住居及び工場等が混在する地域を中心に10年度は43件となっています。
なお,県内の指定地域内の指定工場等の数は,10年度末で2,605工場です。(表1−66)
指定地域内の特定工場等には,規制基準(資料編5−(4))の遵守義務が課せられており,市町村長は,特定工場等から発生する騒音が規制基準に適合しないことにより,周辺の生活環境が損なわれると認められる場合は,勧告,命令等を行っています。
また,苦情に基づく立入検査の際,騒音防止に関する行政指導を行っています。
工場・事業場騒音の防止については,事業者の騒音対策に関する知識の向上を図るとともに,施設の改善及び適正配置等の発生源対策や住居及び工場等の分離の推進等都市計画に基づく土地利用面における対策等を図ることが必要です。
表1−66 騒音関係特定施設届出状況(平成11年3月31日現在)
(イ) 建設作業騒音
建設作業による騒音苦情は,10年度は12件となっています。
なお,10年度の特定建設作業実施の届出件数は269件です。
騒音防止には,施工者側での防止対策に対する十分な配慮が効果的であるため,付近住民に対する事前説明の実施,
代替工法の採用等の対策が必要です。
(ウ) 道路交通騒音
道路交通騒音については,交通量の増大により幹線道路沿いにおいて,定常的に騒音が発生します。
本県の自動車台数は,約118万台(平成11年3月末)です。
その約半数が市部で占められ,さらにその約半数が鹿児島市に集中しています。
交通量の多い幹線道路としては,国道225号(鹿児島市域),県道鹿児島東市来線(鹿児島市域),国道10号(鹿児島市域)等が挙げられます。
防止対策としては,信号機の設置,自動車等の通行禁止等の交通規制,最高速度の制限等の道路交通法の規定による措置とともに,道路部分の舗装の改良,立体交差化,緑地帯の拡大等構造の改善を図る必要があります。
[2] 県公害防止条例による規制
県公害防止条例は,法で規制する特定施設のほかに,冷凍機に付随した圧縮機,コンクリートブロックマシン等の特定施設による騒音の規制と,深夜騒音,拡声機騒音について規制しています。
特に,深夜騒音については,カラオケ騒音に代表される飲食店等における深夜営業騒音に対する苦情が増加し,規制を求める世論が高まってきたことから,昭和56年12月県公害防止条例の改正を行い,飲食店営業等に係る音量規制及び音響機器の使用制限を定めています。
このうち,音量規制については,昭和57年6月から騒音規制法の指定地域内において,規制を実施しています。
一方,音響機器の使用制限については,昭和58年7月から現在まで,19市町について,順次規制を実施して深夜騒音防止を図っています。
県公害防止条例に基づく特定施設の届出数は表1-68のとおりで,規制基準等は資料編5−(8)のとおりです。
表1−68 県公害防止条例に基づく特定施設設置届出状況(平成11年3月31日現在)
[3] 近隣騒音
近隣騒音は,カラオケ等の深夜営業騒音,移動販売車等の拡声機騒音,一般家庭からの騒音等に分類されますが,これらの騒音は,近年の都市部の過密化や生活様式の変化に伴い,騒音苦情に占める割合が年々高くなっています。
10年度の苦情発生件数をみると,近隣騒音に係るものは30件であり,騒音苦情のうち33.3%を占めています。
このうち,深夜営業等騒音に係るものが11件(12.2%),拡声機騒音に係るものが8件(8.9%),一般家庭からの騒音に係るものが11件(12.2%)となっています。
[4] 航空機騒音
鹿児島空港周辺では,「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止に関する法律」に基づき,また,鹿屋飛行場周辺では,「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」に基づき,低騒音機の導入,離着陸回数の抑制等の騒音対策が行われています。(図1−20)