1 一般廃棄物の現状と対策
廃棄物には,事業活動に伴って排出される産業廃棄物と,ごみやし尿など主に日常生活に伴って排出される一般廃棄物がありますが,その処理については「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により国民,事業者,市町村,県及び国の責務が規定されています。
(1) 現状
[1] ごみ処理
ごみ処理は,収集・運搬,中間処理及び最終処分のプロセスからなり,排出されたごみを資源化・再利用により減量化したうえで環境保全上支障が生じないよう衛生的に処理することを基本に行われています。
減量化,無害化,安全化等を図るためのプロセスを中間処理(破砕,圧縮,焼却等)といい,廃棄物を最終的に処分するプロセスを最終処分(埋立処分,海洋投入処分)といいます。
平成8年度における県内のごみの排出総量は732,575t
であり,市町村が直営,委託,許可業者等により収集している550,867t
と,事業所等から直接搬入される158,403t
が市町村の焼却施設,埋立処分地等で処理処分されています。
市町村のごみ収集は区域内に収集場所を指定するステーション方式を採り,3分別による収集を行っているところが45市町村と多くなっています。
収集形態は市町村直営が24市町村,業者委託が80市町村,許可が21市町村となっています。
また,事業活動に伴って生じる多量のごみについては,事業者自らに処理することを求めている市町村が大部分ですが,一部の市町村では許可業者によって収集されたこれらのごみの処理を行っています。
平成10年度末現在,焼却施設は89市町村(40施設,処理能力2,002.8t/日)で整備されています。
また,42市町村で粗大ごみ処理施設を焼却施設に併設し,ごみの減量化,資源化等を行っています。
埋立処分地施設については,60市町村の21施設が浸出水処理施設を有しています。
[2] し尿処理
(ア) し尿処理
し尿処理は,次のようなシステムで行われています。
8年度における県内のし尿総排出量(公共下水道で処理されるし尿を除く)は752,416KL/年であり,このうち739,837KL/年(98.3%)を市町村が収集し処理しています。
一般廃棄物の収集,運搬及び処分は,法令上,市町村の直営又は委託により行うことが原則とされていますが,し尿の収集はこれまでの経緯もあり,大部分が許可業者により行われています。
し尿を衛生的に処理するために,公共下水道の整備が進められていますが,8年度末の普及率が31%(全国55%)であることから,汲み取りし尿や浄化槽汚泥を処理するし尿処理施設は依然として重要な地位を占めています。
また,水洗化志向の高まりに伴って浄化槽の普及率が著しく,公共下水道の普及とあいまって,今後は汲み取りし尿は減少し,浄化槽汚泥の収集量が増加するものと思われます。
収集されたし尿の大部分(566,142KL/年)は,し尿処理施設で処理されていますが,海洋投入処分
(133,342KL/年),農地還元等も行われています。
し尿処理施設は10年度末現在76市町村 (30施設,処理能力2,004KL/日)で整備されており,広域化も進んでいますが,離島における整備は遅れています。
(イ) 浄化槽
a 浄化槽の設置基数
浄化槽の設置基数は,昭和50年頃,約2万基であったものが年々増加しており,10年度は11,628基が設置され,10年度末で,約21万基になっています。
このうち,ほとんどが単独処理浄化槽ですが,近年,住民意識の向上により,生活雑排水とし尿とを併せて処理する合併処理浄化槽の設置基数が増加してきており,その設置比率も44,365基,約20%と高くなってきています。
国は平成7年度に,今後単独処理浄化槽の新設を廃止し,さらに既設単独処理浄化槽についても合併処理浄化槽へ転換していく方針を示し,平成11年4月からほとんどの浄化槽メーカーが単独処理浄化槽の製造を廃止しています。また,本県においては,浄化槽事務取扱要領を改正し,平成11年9月以降新たに設置する浄化槽は,原則として合併処理浄化槽とすることとし,合併処理浄化槽の設置を推進しています。
b 法定検査
浄化槽は,浄化槽法の施行(昭和60年10月1日)に伴い,使用開始後の水質検査(法第7条)及び定期検査(法第11条)が義務づけられましたが,本県においては,浄化槽法第57条の規定に基づき「社団法人鹿児島県環境保全協会」がこの水質検査の検査機関として知事の指定を受け,昭和61年4月1日から検査業務を実施しています。
10年度の検査結果は,それぞれ表1−79,表1−80のとおりですが,不適正であると判定された主な原因としては,使用開始後の検査では,不適正工事,無管理が,また,定期検査では施設の老朽化,構造上の欠陥,不十分な維持管理等があげられます。
なお,定期検査結果の推移を表1−81に示しました。
c 行政検査
法定検査で「不適正」と判定された1,424基については,各保健所等が立入検査を実施し,判定結果に基づく改善指導を行いました。
不適正と判断された浄化槽については,放流水を採取し
BOD
の分析を行い基準値を超えたものについては,文書による指導を行いました。
d 浄化槽設置者等講習会
昭和58年から,各保健所では浄化槽の正しい使い方等をテーマにした講習会を開催していますが,9年度は49会場,1,113名が受講しました。
e 浄化槽保守点検業者登録条例
浄化槽法第48条の規定に基づいて「鹿児島県浄化槽保守点検業者登録条例」を制定し,昭和61年4月1日から施行しています。
平成10年度は4件の登録があり,10年度末現在,71業者が登録されています。
f 合併処理浄化槽設置整備事業
公共用水質の汚濁の原因として生活排水が大きくクローズアップされています。
生活排水対策として,また快適な環境を確保する手段の一つとして,合併処理浄化槽の普及促進が急務となっています。
このため,下水道と同等以上の処理性能(放流水質:20r/清以下)を有する小型合併処理浄化槽の普及促進を図るため,国庫補助事業の合併処理浄化槽設置整備事業が昭和62年度に,また,県費補助事業のブルーリバー推進事業が平成元年度に創設され,平成10年度には13市63町2村で計78市町村で同事業が実施されました。
(2) 対策
[1] ごみ処理
(ア) ごみ処理広域化計画の策定
県内の家庭等から排出されるごみについては,年間総排出量は8年末で57万tで,このうち96.5%の55万tが市町村によって収集され焼却や破砕処理後に埋立処理されます。しかし,一部市町村においては不適正処理が行われ基準に適合しない処分場が残っているなど早急な対応が必要となっています。
また,焼却施設のダイオキシン類については,排出濃度測定の結果,廃棄物処理法施行規則に基づく暫定基準値を上回った施設があり,その後の早急な改造や燃焼管理の適正化で基準値以下になっているものの,今後とも排出削減に努める必要があります。
このような問題の解決のために,焼却施設の集約化やごみ処理の効率化を図るため,県としては市町村の意向を踏まえて,平成11年3月に「県ごみ処理広域化計画」を策定しました。今後この計画に基づき,市町村等の広域的な施設整備を促進することとしています。
(イ) ごみ減量化・リサイクルの推進
国においては,廃棄物処理施設整備緊急措置法(昭和47年6月23日法律95号)に基づき平成8年度を初年度とする第8次廃棄物処理施設整備5か年計画を策定し,計画的な整備を進めることとしており,特に環境の保全,資源の有効利用の観点からごみの排出抑制やリサイクル,焼却時の熱利用の促進など,リサイクル型社会への転換を図るため,リサイクル関連施設の重点的整備を進めることとしています。
また,平成9年に改正された廃棄物処理法(平成9年6月18日公布)でも廃棄物の適正な処理の確保とともに減量化・リサイクルがその重点事項となっており,さらに,容器包装リサイクル法に基づく分別収集が平成9年4月から始まるなどごみ減量化・リサイクル対策は,消費者,企業,行政が一体となって取り組まなければならない課題となっていることから,県においては,鹿児島県総合基本計画に基づき,ごみ減量化・リサイクルの一層の推進に努めます。
[2] し尿処理
県においては鹿児島県総合基本計画に基づき,県民の日常生活に伴って生ずる生活排水については,全量処理施設での処理を図るため,施設の整備及び広域的な処理体制の確立に努めることとしています。
また,平成9年度からし尿とともに生ごみをリサイクルする汚泥再生処理センターが,国庫補助対象となったことから適正処理に加えリサイクルの推進に努めることとしています。
一方,県民の水洗化指向は根強いものがあり,今後とも浄化槽の設置基数は年々増加していくものと予想されます。
浄化槽は,製造,施工,保守点検,清掃,使用が適正に行われていてこそ,その機能を発揮するものであることから,設置者,施工業者,維持管理業者等に対する意識の啓発が不可欠です。
こうしたことから,設置者講習会をはじめ,管理者技術講習会・設備士講習会などの講習会を定期的に実施するとともに,法定検査の励行並びに立入調査等を通じた維持管理指導に努めることとしています。
また,「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく一般廃棄物処理計画に,生活排水処理計画をもりこむことが市町村に義務づけられており,今後,生活排水処理の有効な施設である合併処理浄化槽の整備を一層推進する必要があります。