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第5節 資源循環型社会の形成

2 産業廃棄物の現状と対策

 産業廃棄物については量的な増大傾向とともに質的多様化を示している一方,不法投棄等の不適正処理がみられたり,住民の環境汚染に対する不安感などにより,産業廃棄物の再生利用や減量化を図る中間処理施設や,適正処理をするため最終処分場の確保が困難な状況となっています。
 このため良好な生活環境を維持し,健全な産業の発展を図るために平成9年度も各種の産業廃棄物処理対策を実施してきており,その概要については次のとおりです。

(1) 現状

[1] 産業廃棄物の発生状況
 平成10年の県内における産業廃棄物の発生量は,9,217千トンと推計されます。
 業種別の発生状況は,表1−82に示すとおり,農業系廃棄物が約6,549千トンで最も多く,次いで製造業系1,027千トン,建設業系800千トンと続き,以下,鉱業,電気・ガス・水道業の順となっています。
 種類別の発生量は,表1−83に示すとおり,家畜ふん尿が6,533千トンで最も多く,次いで汚泥919千トン,がれき類777千トンと続き,以下,動植物性残さ,廃酸(焼酎かすなど),鉱さいの順となっています。

表1-82 産業廃棄物の業種別発生量(推計)

表1-83 産業廃棄物の種類別発生量(推計)

[2] 産業廃棄物の処理状況
 家畜ふん尿については,そのほとんどが肥料として利用されており,汚泥やがれき類等については,中間処理によって約85万トンが減量化され,直接又は中間処理されたあ後,再利用されるものが約71万トン,最終処分場での埋立や海洋投入による処分量が約111万トンとなっています。

[3] 産業廃棄物処理施設の設置状況
 産業廃棄物の処理施設としては,産業廃棄物の減量化,安定化,無害化等を行うための中間処理施設と産業廃棄物を最終的に自然界に戻すための最終処分場などがあるが,県内の施設の設置状況は表1−84に示すとおりであり,中間処理施設が189件,最終処分が44件となっています。
 中間処理施設では,汚泥の脱水施設が98件と最も多く,全中間処理施設の約半数を占め,次いで廃プラスチック類の焼却施設15件などとなっています。
 また,最終処分場では,建設廃材等を埋立てる安定型最終処分場が43件とそのほとんどを占め,汚泥等を処分する管理型処分場は1件となっています。

表1-84 産業廃棄物処理施設設置状況

[4] 産業廃棄物処理業の許可状況
 産業廃棄物は,事業者の責任において適正に処理しなければならないが,自らそれを処理できない場合にあっては,知事等の許可を受けた専門の処理業者に委託して処理することができることとされています。
 産業廃棄物の処理業者として知事又は鹿児島市長の許可を受けた者(許可の数)は表1−85表1−86のとおりであり,知事の許可が1,198件,鹿児島市長の許可が498件,合計して1,696件となっています。
 許可の種類別にみると,知事許可,鹿児島市長許可とも収集・運搬業の許可が圧倒的に多く,合計して1,473件と実に全許可件数の約86.9%を占めています。

表1-85 産業廃棄物処理業の許可状況(1)

表1-86 産業廃棄物処理業の許可状況(2)

(2) 対策

[1] 鹿児島県産業廃棄物の処理に関する基本方針
 社会経済活動の活発化に伴って大量に発生する多種多様な産業廃棄物を県民の理解と信頼を得ながら適正に処理し,良好な生活環境の保全と健全な経済活動の発展を図るため,総合的な産業廃棄物行政推進の指針として,平成9年12月に「鹿児島県産業廃棄物の処理に関する基本方針」を策定しました。

 (主な内容)

   (1) 産業廃棄物の減量化・リサイクルの推進

   (2) 県内完結型の産業廃棄物処理の推進
    ア 県内処理体制の整備等
     (ア) 安定型最終処分場の整備促進
     (イ) 管理型最終処分場の整備推進
     (ウ) 中間処理施設の整備促進
     (エ) ミニ処分場の適正化
     (オ) 最終処分を目的とした県外産業廃棄物搬入の抑制

    イ 産業廃棄物処理の適正化

    ウ 排出事業者処理責任の確立

    エ 不法投棄対策の推進

   (3) 普及啓発及び産業廃棄物処理施設に関する情報公開の推進

[2] 鹿児島県産業廃棄物処理計画
 本県においては,昭和50年12月及び昭和62年7月に「鹿児島県産業廃棄物処理基本計画」を,平成6年3月に「鹿児島県産業廃棄物処理計画」を策定し,これに基づく各種の施策を講じて産業廃棄物の適正処理を推進し,生活環境の保全を図ってきました。
 しかしながら,近年の大量生産,大量消費,大量廃棄型の社会経済活動や生活様式が環境に必要以上の負荷を与えた結果,地球温暖化などの地球規模の環境問題が顕在化してきています。
 こうした中で,我々の豊かな生活を支える産業活動や社会生活基盤の整備などに伴い,産業廃棄物についても大量に排出されており,生活環境に与える影響が懸念されていることから,産業廃棄物の排出を抑制するとともに,産業廃棄物処理施設の円滑な整備を促進し,産業廃棄物の適正処理を確保することが緊急の課題となっています。
 このような状況の中,産業廃棄物を取り巻く情勢の変化に適切に対応し,本県の良好な生活環境を保全し,健全な産業の発展を図るため,産業廃棄物の排出抑制,減量化,リサイクルの推進による資源循環型社会の構築を目指して,新たな計画を平成11年3月に策定しました。
 この処理計画は,県内の産業廃棄物の現状及び将来の動向を踏まえ,産業廃棄物の適正処理のための基本的考え方,計画の目標,関係者の責務と役割,県の施策等を明らかにしたものです。

(計画期間)
平成11年度〜平成15年度
(基本的考え方)
(1)排出事業者処理責任の原則の徹底
(2)産業廃棄物の排出抑制,減量化,リサイクルの推進
(3)産業廃棄物処理施設の整備推進
(4)公共関与による管理型最終処分場の整備推進
(5)産業廃棄物の適正処理の推進
(6)普及啓発及び産業廃棄物処理施設に関する情報公開の推進

[3] 鹿児島県産業廃棄物の処理に関する指導要綱
 産業廃棄物処理施設の設置に係る問題等に適切に対処するため,平成3年6月1日に「鹿児島県産業廃棄物に関する指導要綱」を制定したが,鹿児島県産業廃棄物の処理に関する基本方針の制定に伴い,平成10年2月16日付けで一部改正を行いました。

(改正の主な内容)

(指導要綱の規定内容)

(1) マニフェストシステムの実施等
(2) 産業廃棄物処理施設の設置等に係る事前協議の実施
(3) 県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議の実施
(4) 不法投棄対策
(5) 事故時の措置
(6) この指導要綱を遵守しない場合の勧告及び公表

[4] 立入調査及び収去試験
 金属等(有害物質)を含む産業廃棄物は,環境保全な重大な影響を及ぼす恐れが強いことから,金属等を含む産業廃棄物を生じる恐れのある事業所については,定期的な立入調査を行った上で処理体制の把握に努めるとともに,廃棄物に含まれる金属等の量について試験を実施しているが,今後とも継続してこの立入調査及び収去試験を実施することとしています。
 なお,10年度の収去試験実施状況は表1−87のとおりです。

表1−87 収去試験実施状況

[5] 啓発活動
 産業廃棄物を適正に処理し,生活環境の保全を図っていくためには,排出事業者・処理業者のみでなく広く県民の理解と協力を得ることが不可欠であることから,講習会,研修会,広報紙等を通じて産業廃棄物に関する知識の普及に努めることとしています。

[6] 特定の産業廃棄物対策
(ア) 家畜のふん尿
 本県における産業廃棄物の発生量の約6割を占める家畜のふん尿の適正処理は重要な課題の一つであり,「家畜ふん尿処理利用の手引き」(農政部策定:昭和62年12月改正)を基本として,適正なふん尿の農地還元,堆肥化等の推進,適正な汚水処理施設設置と維持管理等について指導しているところであるが,依然として一部の事業所から環境問題が生じているのが現状です。
 今後とも講習会,「家畜ふん尿・でん粉工場排水対策連絡協議会」等を通じ適正処理を推進するため努めていきます。

(イ) 焼酎廃液
 本県の主要産業の一つである焼酎廃液の処理対策については,通常の汚水処理施設では対応が難しいこと,発生量が季節的に大きく変動することなどの問題があるが,有効利用と適正処理の両面から対応策について検討を行い,地域の諸条件に応じ,海洋投入処分,陸上プラントによる処理,肥料化及び飼料化などの適正な処理方策を各酒造工場に対し指導しています。
 なお,平成9酒造年度では,224千トンの発生量に対して,105千トンが海洋投入され,50千トンが肥料としての活用,24千トンが飼料用に,残り43千トンがその他の方法で処理されています。

(ウ) 医療廃棄物
 医療廃棄物の処理については,地区別協議会を設置しそれぞれの地区に応じた医療廃棄物の処理体制の整備に努めるとともに,平成4年8月からは廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアルに基づき,排出事業者や産業廃棄物処理業者等に対して,管理体制の充実,分別の徹底,処理処分の適正化,マニフェストシステムの実施などの指導を行い,適正処理の推進に努めています。

[7] その他の対策
(ア) 最終処分場の確保産業廃棄物は,減量化等の中間処理を行って最終的に安全な形で自然界に戻す埋立処分を行う必要があり。 最終処分場の確保と適正な配置は,重要な課題となっています。
 しかし,適地の減少,施設整備の高騰,地域住民の反対等により,最終処分場の設置は年々難しくなってきているが,生活環境の保全や産業の健全な発展のためにも引き続き各方面の理解を得て,最終処分場が適切な配置で設置できるよう指導・助言を行うとともに,公共関与を含めた施設整備を進めることにしています。

(イ) 再(生)利用,再資源化技術の開発
 産業廃棄物は,発生形態が複雑で種類も多種多様であることから再(生)利用,再資源化技術は,まだ未開発,未確定な分野が多くなっています。
 そこで,より一層産業廃棄物を資源として有効利用し,環境に対する負荷を軽減するためには,事業活動の各分野において再(生)利用技術の開発に努めるよう指導するとともに,再(生)利用に関する情報の収集・提供に努め,また,これらの技術開発を積極的に推進します。

(ウ) 広域処理対策
 近年,産業廃棄物は県域を越えて移動し,広域的に処分されるものが増加する傾向にあります。 その量,処理について,把握,監視が行えるよう,隣接県等と協力し適正処理について指導を行います。

(エ) 情報管理システム
 産業廃棄物は,発生形態が複雑で種類も多種多様で,多くの処理業者に委託されるものもあることから,産業廃棄物に関する情報の管理は,その適正処理の指導に当たって重要な課題です。
 そのため,平成4年度から産業廃棄物に関する各種の情報を管理するための電算処理システムを導入しています。

(3) 公共関与による産業廃棄物処理施設の整備
 公共関与による管理型処分場の整備については,平成6年3月に県,市町村,民間団体等により事業主体となる財団法人鹿児島県環境整備公社を設立し,その整備に向けて努力しました。
 処分場の整備を進めるに当たっては,県民に処理施設の必要性や安全性等についての理解を深めることが重要であることから,新聞,テレビ,ビデオ,パンフレットによる広報のほか,市町村職員や市町村議会議員等に対する説明会,セミナーの開催など種々の普及啓発活動を行いました。
 また,候補地についての調査検討を進めました。

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