本県では,出力89万kWの川内原子力発電所1号機,2号機が営業運転を行っています。 原子力発電所は, 国が電気事業法,原子炉等規制法等に基づき一元的に厳しい安全規制を行っているところですが,県としても 川内原子力発電所周辺地域の環境放射線の監視を基本として,安全協定の厳正な運用を図るなど各種の安全対策を積極的に講じています。
1 原子力安全対策の推進
(1) 安全協定の運用等
安全協定は,川内原子力発電所周辺地域住民の安全確保及び環境の保全を図るため,県,川内市,九州電力(株)の間で締結し,各種の報告,事前協議などを規定しています。
平成10年度は発電所の運転状況に関し63件の連絡,事前協議を受けるなど,安全協定を厳正に運用することにより発電所の状況把握と安全対策に万全を期しています。
なお,平成11年3月30日に安全協定の異常時の連絡体制について,より早い段階での通報連絡を義務づけた改訂を行いました。
また,県では各種の調査結果や川内原子力発電所の運転状況及び原子力発電に関する種々の情報等について,広報誌「原子力だよりかごしま」を年4回発行するほほか,川内環境監視センターの「原子力情報展示ルーム」の運営を行うなど適切な広報に努めています。
(2) 原子力安全対策連絡協議会の開催
原子力安全対策連絡協議会は,原子力安全対策について関係市町村及び団体と協議し,連絡調整を図るために設置しています。
平成10年度は,環境放射線の調査計画及び結果,温排水の調査計画及び結果,川内原子力発電所の運転状況等について協議するため協議会を2回開催しました。
(3) 川内原子力発電所地震観測システムの運用
県の空間放射線測定局2局と川内原子力発電所内に設置している合計5基の地震計で連続観測を行い,地震発生後直ちに川内原子力発電所の震度情報を川内市役所ロビーや川内環境監視センターに設置している表示装置で公表しました。
2 環境放射線の監視
(1) 環境放射線の監視体制
〔1〕 監視の目標
川内原子力発電所の安全確保対策の一つとして,発電所の周辺地域で,原子力発電所に起因する放射線から公衆の受ける線量当量が線量当量限度(1年間につき1ミリシーベルト)を十分下回っていることを確認することを目的としています。
〔2〕 監視体制
川内原子力発電所に係る環境放射線の調査は,県及び九州電力(株)で実施しており,九州電力(株)が発電所敷地近傍を重点とするのに対し,県は周辺地域を重点に実施しています。
調査は,昭和56年から開始していますが,原子力発電所の稼働前においては「操業前調査」,1号機の試運転開始(昭和58年7月)の時点からは「監視調査」として実施し,安全確保に努めています。
なお,調査結果は,学識経験者により構成されている「鹿児島県環境放射線モニタリング技術委員会」の指導・助言を得て詳細な検討評価を行い3か月毎にとりまとめ,調査結果報告書として公表しています。
〔3〕 調査の概要
調査は,空間放射線量の測定と環境試料の放射能分析を行っています。
ア 空間放射線量
発電所の周辺に,線量率を連続測定するためのモニタリング・ポスト及びモニタリング・ステーションを,また放水口に計数率を連続測定するための放水口ポストを設置し,これらの測定局による測定結果を集中的に解析,処理するためのテレメータシステムによって常時監視を行うほか3か月間の積算線量を測定するためのモニタリング・ポイントを設置しています。
また,移動測定車(モニタリング・カー)により定期的に測定を実施しています。
イ 環境試料の放射能
川内原子力発電所周辺の陸上においては,穀類,野菜などの農産物や牛乳などを,海域においては魚介類や海藻類などの海産物を定期的に採取し,放射性物質の種類及び量の測定を行っています。
(2) 川内原子力発電所周辺環境放射線調査結果
平成9年度における調査結果は,空間放射線量,環境試料の放射能ともこれまでの調査結果と比較して同程度のレベルであり,異常は認められませんでした。
〔1〕 本調査
ア 空間放射線量
(ア) 3か月間(91日換算)積算線量の測定は47地点で実施し,その結果は0.10〜0.16ミリグレイ(前年度まで0.10〜0.17ミリグレイ)でした。
(イ) シンチレーション検出器による線量率の連続測定は12地点で実施し,月平均値は26〜47ナノグレイ/時(前年度まで25〜47ナノグレイ/時)でした。(表1-89)
イ 環境試料の放射能
(ア) 放射性核種分析は,海洋試料44試料,陸上試料107試料,合計151試料を,137Cs,60Co,90Sr,131I
等について実施しました。
調査結果では,137Cs,90Srが一部の試料で検出されましたが,60Co,
131Iは調査した全ての試料で検出されませんでした。なお,検出された137Cs,90Srは,過去の核実験の影響が残っているものと考えられますが,これまでの調査結果と同程度のレベルでした。(表1-90)
〔2〕 補助的調査
ア 空間放射線量
(ア) 電離箱検出器による線量率の連続測定は7地点で実施し,月平均値は59〜80ナノグレイ/時(前年度まで59〜80ナノグレイ/時でした。
(イ) 放水口ポストにおける計数率の月平均値は,470〜520カウント/分(前年度まで450〜530カウント/分)でした。
(ウ) シンチレーション検出器(モニタリング・カー)による線量率の定期測定は36地点で実施し,その結果は24〜56ナノグレイ/時(前年度まで23〜61ナノグレイ/時)でした。(表1-91)
イ 環境試料の放射能
(ア) 大気中放射性ダストの測定は7地点で実施し,これまでの調査結果と同程度のレベルでした。
(イ) 大気中放射性ヨウ素の測定は7地点で実施し,これまでと同様すべての地点で検出されませんでした。
(ウ) トリチウムについては,海水8試料,陸水18試料について実施し,これまでの調査結果と同程度のレベルでした。(表1-92)
ウ 海側における空間放射線量の測定
(ア) 3か月間(91日換算)積算線量は防波堤の3地点で実施し,その結果は0.11〜0.13ミリグレイ(前年度まで0.11〜0.14ミリグレイ)でした。
(イ) 防波堤における線量率の定期測定は3地点で実施し,その結果は35〜48ナノグレイ/時(前年度まで30〜50ナノグレイ/時)でした。
(ウ) 防波堤における線量率の連続測定は1地点で実施し,その結果は月平均値で22〜24ナノグレイ/時(前年度まで21〜24ナノグレイ/時)でした。(表1-93)