目次に戻る

第6節 調査研究・監視観測等の充実

1 試験・研究機関
 
環境行政を技術面から支援する試験研究機関としては,その中核である環境センター(昭和57年5月発足)と,原子力発電所などが立地しる北薩地域の監視調査等を実施する川内環境監視センター(昭和56年7月発足),また,飲料用水や家庭用品などの生活環境分野を担っている衛生研究所(昭和24年10月発足)があります。
 これらの機関には,監視機能と調査・研究機能がありますが,特に環境センターは,環境情報の収集・管理・解析機能もふえています。
 なお,これらの機関の組織及び平成10年度にこれらの機関で進められた調査・研究の概要については,資料編に記載しています。

○ 監視機能
 大気や公共用水域などの環境監視,工場・事業場の排出基準監視のほか,テレメーターによる原子力発電所周辺地域における空間放射線並びに県下の環境大気の監視を行い,その結果を解析・評価します。
○ 調査・研究機能
 環境汚染の実態や汚染機能の解明,汚染の防止及び環境影響調査並びに環境保全対策調査など地域特性に応じた調査研究を行います。
○ 環境情報の収集・管理・解析機能
 電子計算機等を利用して大気,水質,放射線などに関する環境情報並びに産業活動や人口の分布など社会状況に関する情報を集積し,総合的な解析・評価を行い,環境行政の各種施策に役立てます。

第7節 環境情報の整備・提供

 環境センターにおいて,環境に関する様々な情報を収集・処理し,保管するとともに,各種の統計解析や予測評価を行い,環境監視,環境管理,環境アセスメント,調査・研究など環境保全の推進を支援しています。
 また,平成10年度版県環境白書について,関係機関の他,県内図書館や学校,大学へも配布し,環境情報の提供を行うとともに,要約版を作成し,小・中学校や環境学習アドバイザーやエコクラブ等へ配布し,より広く,本県の環境に関する情報提供を行いました。
 なお,要約版については,中核情報センターの県のホームページに掲載し,インターネットを通した情報提供も行っています。

環境センターにおける環境情報処理システム

第8節 公害紛争の処理等

1 公害紛争処理制度
(1) 制度の趣旨
 公害紛争は,社会性をもつとともに,技術性や専門性をもつもので裁判そのものが非常に時間と経費をようします。
 このため,(旧)公害対策基本法を受けて公害紛争処理法が昭和45年に制定され,行政機関による簡易・迅速な解決手続きの特性を活かしつつ,公正かつ妥当な解決を担保でき,司法救済を補完するものとして公害紛争処理制度かが設けられました。

(2) 制度の概要
 公害による被害の防止や損害賠償など紛争処理の専門機関としては,国に公害等調整委員会が設置されています。
 一方県では,公害紛争処理法をうけて制定された鹿児島県公害紛争処条例により,昭和45年12月19日に鹿児島県公害審査会が設置され,現在9名の委員で構成されています。(審査会の委員名簿については,本書「資料編」を参照。)

(3)公害苦情相談員
 公害に関する苦情は,地域住民に密着した問題であり,公害紛争の前段階的性格を持っていますから,その迅速かつ適切な処理は,将来における公害紛争を未然に防止し,住民の生活環境を保全するために極めて重要です。
 このような観点から公害紛争処理法では,都道府県及び市町村に対して公害に関する苦情の窓口としての苦情相談員の設置を規定しています。
 県では,この規定に基づき環境政策課,環境管理課,環境整備課及び各保険所に公害苦情相談員を配置し,公害に関する苦情について住民の相談に応じ,苦情の処理のために必要な調査,指導及び助言を行い公害苦情の適切な処理に努めています。

表5−12 公害苦情相談員

2 公害紛争事件
 平成10年度は,県公害審査会への公害紛争処理事件の申請はありませんでした。

3 公害苦情
(1) 公害苦情事件数と種類別状況
 平成10年度に地域住民から市町村や県の公害苦情の窓口に新規に寄せられた苦情件数は,785件でした。
 種類別にみますと,典型7公害に関する苦情件数が518件(総件数の66%),それ以外のものが267件(同34%)となっています。
典型7公害に関する苦情の内訳をみると,悪臭が187件(同23.8%),大気汚染の126件(同16.0%)の順となっています。

(2) 受理機関別苦情件数
 平成10年度に県及び市町村が新規に受理した苦情件数を受理機関別にみると,市が638件(構成比81.3%),町村が86件(同10.9%),県が61県(同7.8%)となっており,市部での割合が高くなっています。
市町村別にみると,最も受理件数が多いのは鹿児島市で190件,次に国分市98件,川内市92件の順になっています。

4公害防止(環境保全)協定
 公害防止協定や環境保全協定は,企業と地方公共団体,住民団体等の,間で公害の防止や環境の保全のために締結するものであり,公害関係法令を補完し,地域の実績に応じたきめ細かい対策を行うことにより,地域の生活環境を保全する有効な手段となっています。
 平成11年3月31日現在の県内における公害防止(環境保全)協定の締結状況は,表5−13,14のとおりです。

表5−13 業種別の公害防止(環境保全)協定締結状況

表5−14 県・市町村及び企業との3者協定

第9節 環境に配慮した事業活動等の促進

1 鹿児島県環境保全施設整備資金
 
公害を防止するための国の融資制度としては,環境事業団,中小企業金融公庫,国民金融公庫等の融資制度(以下「制度資金」)がありますが,これを補完するために,県では,昭和46年8月に「鹿児島県公害防止施設整備資金融資制度要綱」を制定し,中小企業者における公害防止施設の整備に係る資金(以下「公害防止資金」)の融資を行ってきました。
 その後,平成9年4月には環境への負荷の低減その他の環境の保全に資する施設の整備に要する資金を対象とする「鹿児島県環境保全施設整備資金」(以下「環境保全資金」)へ改正し,融資対象経費や融資限度額の拡大等を行いました。
 さらに平成10年4月にはダイオキシン対策の促進を図るため,廃棄物処理を主たる業務とする者が整備する焼却施設の改造も対象経費として追加する等,制度の充実を図りました。

(1) 融資対象者
 @ 中小企業基本法に定める中小企業者
 A 借入申し込み日において引き続き1年以上同事業を営んでいる者
 B 県税及び市町民税を完納しており,県の融資制度に基づく借入金の返済を延滞していない者

(2) 融資対象経費
 @ 工場・事業場(以下「工場等」という。)で公害の防止のために必要な施設の整備に要する経費(公害防止施設を設置するための必要最小限の土地代を含む。)
 A 公害防止のために必要な工場等の転移に要する経費。
   (土地取得,土地造成に要する費用は除く。)
 B 廃棄物の処理,資源化及び再利用のために必要な施設の整備に要する経費
   (廃棄物処理を主たる業務とする者が整備する者を除く。当該施設を整備するために要する必要最小限の土地代を含む。)
 C 工場等の周辺の景観保持のために必要な緑地及び囲障の整備に要する経費
 D 電気自動車,天然ガス自動車,メタノール自動車及び,ハイブリッド自動車の購入に要する経費
 E フロン破壊装置,脱フロン施設等オゾン層の保護のために必要な施設の整備に要する経費
 F 地球温暖化物質の排出抑制のために必要な施設の整備に要する経費

(3) 融資限度額
 5,000万円以内

(4) 融資機関
 10年以内,ただし融資額が2千万円を超える場合は15年以内(うち据置期間1年以内)

(5) 貸付利率
 2.4%(平成11年12月1日現在)

(6) 返済方法
 原則として元金均等月賦償還

(7) 取扱指定金融機関
 鹿児島銀行,南日本銀行,(奄美群島については鹿児島銀行のみ)

(8) 保証機関
 鹿児島県信用保証協会,奄美群島振興開発基金(奄美群島のみ)

(9) 保証料
 年0.75%

(10) 保証人及び担保
 保証人は2人以上,担保は必要に応じて徴する。

2 鹿児島県環境保全施設資金利子補助
 
公害防止資金の融資を受けた者及び制度資金の融資を受けた者に対し金利負担の軽減を図るため,昭和46年8月に「鹿児島県公害防止施設資金利子補助金交付要綱」を制定しましたが,公害防止資金が環境保全資金に改正されたことに伴い,「鹿児島県環境保全施設資金利子補助要綱」に名称変更等を行いました。
 その要綱については次のとおりです。

(1) 補助対象者
 県の「環境保全資金」又は「制度資金」の融資を受けた事業者で当該資金に係わる金融機関との貸借契約による約定返済元金を返済し,かつ1月1日から12月末日までの期間中に当該期間等の約定利子を支払っている中小企業者

(2) 補助金の額
 当該契約に係わる借入金のうち,知事が必要と認めた額に係わる利子であって,毎年1月1日から12月末日までに支払った利子について,事業者の負担額が年3.5%になるまでの額

(3) 補助の期間
 当該契約に係る借入金を受けた日から起算して,契約による完済期日まで

3 企業における環境マネジメントシステムの推進
 環境マネジメントシステムとは,環境に配慮した企業経営を自主的に進めていくため,@自社の活動や提供する製品・サービスが環境へどのような影響を与え,又は与える可能性があるかを把握し,環境に関する方針,目標を設定しA環境方針や目標達成に必要な組織を整備し,環境保全の取組を推進するとともにB環境目標の達成状況を点検しCその結果に基づき必要な見直しを行い継続的な環境改善を図っていく一連の体制・手続きです。
 このシステムは,環境管理規格(ISO14001)として国際標準化機構(ISO)が定めています。
 この規格の認定を受けることは,「環境にやさしい企業」として国内外にアピールする有効な手段になりますが,そのためには(財)日本適合性認定協会等が認定した認証(審査登録)機関に申請して,審査を受ける必要があります。
 なお,県内では平成11年3月末現在で10事業所が認証を受けています。(表5−15)
 県では,環境に配慮した企業活動が推進されるよう県内中小企業者を対象とした,ISO規格取得支援モデル事業による認証取得の支援や,(財)鹿児島県中小企業振興公社を通じた制度普及のための講習会を開催しており,今後とも関係団体等と連携を図りながら普及・啓蒙に努めていきます。

表5−15 環境管理規格(ISO14001)認定事業所(平成11年3月末日)

第10節 市町村における特色ある取組

 ウミガメの産卵地と「日本の渚百選」にも選定されている吹上町では,吹上浜の渚を守っていくために,全町民に呼びかけ,海岸清掃を行っています。
また,鹿児島市では,新たな有害物質による環境汚染問題への対応の課題や,時代の要請に基づく新たな課題に積極的に対応するため,平成9年度に改定した水環境計画に基づき河川浄化対策委員会の運営などを行っています。
 世界自然遺産の島「屋久島」では上屋久町が,公用車として電気自動車を導入し,試乗会や環境学習に使用するとともに,電気自動車等に関する最新情報を伝える屋久島EVニュースを定期的に発行し,レンタル事業者等に配布することにより,電気自動車等の普及啓蒙活動を行っています。
 環境庁が実施する全国星空継続観察(スターウォッチング)において,平成3年冬期から4季連続して「きれいな星空日本一」に輝いた輝北町では,環境庁が不適切な照明による天体観測や動植物の生育などへの影響を防止市,良好な照明環境の実現を図り,地球温暖化防止にも資する目的で策定した「光害対策ガイドライン」に基づき,輝北町における照明環境の在り方について,短中期的な達成目標を含んだ「輝北町地域照明環境計画」を策定しました。

目次に戻る   次のページへ  このページのトップに戻る